不況により、ホールの財布がしぶくなってきている。
メーカーは、なんとかせねばなるまいと対策を講じ始めた。
いいところだけを強調、誇張したデモ基盤、動画、機械説明、各種販促施策など、
機械商品力以上の販売テクニックを、向上させるべく日夜研究しているのだ。
とある営業所に向かうと、専属の「法人担当人」が外で待ちかまえている。
お待ちしておりました!
営業所にはいるやいなや、彼は音頭を取る。
「鈴木専務」いらっしゃいませ!
いらっしゃいませ!!!
続けて、並んだ黒服達(社員)が唱和する。
複数人だと、法人名で呼ばれる。応援もいるのか、かなりの人数だ。
まさにロミオへようこそジュリエット状態で
度肝を抜かれる。
あたりでは、容姿のいいコスプレ姿のキャンギャルが、ドリンクを配っている。
通された立派なショールームで、
機械プレゼンが行われる。
市場提案をふまえ、練りに練った構成で申し分ない。
・・・・最高の機械なのです!
最高です!!!
専属のプレゼンテーターの後に、
後ろの黒服達が、また大きく唱和する。
空間が、驚きに包まれる。
間髪入れずに、初老の紳士が、手を挙げ
購買条件について質問を始める。
(おそらく桜と見ている)
桜役の人間がどれくらい用意されているのだろう・・
あちこちで商談が始まっている。
5台いただこうか!
これ見よがしに、商談が成立していく。
桜役や黒服社員集団を含め、劇団のような感じだ。
人をだますには、感性をちょいと刺激するだけでいい。
賞賛、感動、非日常感
とにかくなんでもいい。
刺激を与えて、心が揺れ始めたら
あとは、背中をぽんと押すだけだ。
雰囲気に負けて、
ふと担当人に対し、口に出てしまう。
機歴は・・?、販売条件は?
鈴木専務、あなたの笑顔だけで十分デスよ。
周りから一斉に拍手が起こる。
ありがとうございます!!!
黒服達にまた大きく唱和される。
勇気をだした、鈴木専務が賞賛される。
よくわからないが、満足感につつまれる。
機動戦士ガンダムLAST SHOOTING
こうやって、ホールに導入されていくのだ。
なおこの洗脳部屋からは、買わないと出られないようだ。