田山幸憲パチプロ日記という漫画を読んでみた。
ガイドがまともな雑誌だったころの著名ライターだ。
当時のぱちんこ雑誌といえば、マニアご用達専門誌のようなもので、
今のようにライター馬鹿騒ぎの低俗なものではなかった。
友人に連れられて、パチンコを打ち
ビギナーズラックで勝つ。
やり方、勝ち方を覚えるに従い
だんだんコンスタントに勝てるようになり、
ぱちんこ中毒に陥っていく。
その流れが1巻に記載されており、時代背景もあり面白かった。
パチンコを始めるきっかけは、
「知人に連れられて」というものが、今も昔も一番多いだろう。
安易にお金を稼げたことで、
どっぷりはまっていき中毒になる。
その病原体は、さらに知人へ紹介され
どんどん感染していき、多くのぱちんこ遊技者を生んだ。
ところが、今のぱちんこの営業形態では、
ほとんどが負ける。金がとてもかかる。
ぱちんこ打ち行こうぜ!
10万持ってい来いよ!
ひょっとしたら勝てるかも!
こんな状態であり、
鉄板で大金がなくなるパチンコを打つような学生は少ない。
ひと月のバイト代全額が午前中で消し飛ぶほどだ。
仲間10人でいっても、一人くらいしか勝てない。
とても連れパチなどできない。
そもそもさそってくれる知人自体がいないので、連鎖反応も起きない。
私たちが学生の頃は、
デビューのきっかけは、新装開店が一番多かった。
「新装にいけば勝てるから、行こうぜ!」
時間打ちで15時とか、16時、18時
ばらけていたが、新聞のチラシを片手に
学校近辺のホールを回ったものだ。
時間打ちなので、ぶん回り調整であり、そんなに負けない。
学生のこずかいで勝負ができた。
勝っても1万くらいであるが、数時間でそれだけ勝てれば十分であった。
ぶん回り状態では、大金を負ける方が難しい。
勝つときもあれば、負ける時もある。
だが、理論上勝てるような回転数で打っていればトータルで必ずプラスになる。
時給にして、1000円を超えれば上等であり
学生にとってはそれで十分であった。
1日8時間打てば、8000円
それだけで、
「日当分でたわー」
で満足して帰った。
前も書いたが、上述した、生前の田山プロも見たことがある。
行きつけの某ホールの新装に朝から並んでいるとき
そこにお連れのものと一緒に並んでいた。
新装だからと、初見で知人に連れられてきたんだな。と、
まあその一党は負けて帰っていったので、あとで笑い話になったが。
だんだんはまってくると、
朝のぱちんこやスロットのモーニング状態を狙って、たくさんの学生が開店に並ぶ。
西陣、春夏秋冬のモーニングなんて1000円あれば運試しできるので、
朝から1万勝って、2限から学校いこうなんてことができた。
それほど古くなくても、10年くらい前の
イベント全盛期のころのスロを狙い打つ若者もそんな感覚だろう。
勝つ可能性が、儲かる可能性が大きいから打つ。
そんな時代を過ぎ、いまやほとんど負けるからいかない。
これがファン減少のすべてだ。
イベントが禁止されたのも、その拍車をかけただろう。
新規勧誘への入り口がつぶされたのだ。
いまや金持ちしか打てない。
若者や庶民がいなくなり完全に衰退した。
1パチや0.1パチは、中毒への入り口にならない。
4円よりも調整が渋く、金を稼げないからだ。
低貸しは、金がなく4円を打てなくなった古い中毒層、店にとっては売り上げのあがらない不良顧
客が張り付いているだけで、新規は生まれない。喫茶店にコーヒー一杯で1日粘られるような感覚だ。
その若手がいないことで、
パチンコ業界の雇用にも多くの影響を与えている。
そもそもでパチンコを打つ学生がいないので、まともな新卒が集まらないのだ。
今のホールにいる若者は、ウザガキといわれるチンピラ層だけだ。
まともな若者がいない。
ウザガキなどどこの企業も採用するわけがない。
学生のぱちんこ経験者が激減しているため、
採用の母集団も当然激減している。
ぱちんこ遊技未経験で
ぱちんこ業界に勤めようなんて考えを持つのが少ない。
メーカーは、上場していたり、アニメ版権やAKBでだまし釣りができるが、
ホールになってくると、相当厳しい。
新卒採用をあきらめて、バイトからの正社員登用や中途に戻したところも多いだろう。
今回の警察様の指定通りの新基準機に入れ替わったところで、
あたりまえだが、客の勝率は増えない。
若者新規顧客獲得には、つながらない。
やがて主要顧客の老人はベルトコンベアのように死んでいく。
客の高齢化がますますすすむ。
客減りは止まらず、ホールの経営もさらに悪化する。
衰退する業界の企業に、人が集まってくるわけがない。
どんどん他の業界へ逃げ出す。
客を増やすには、小細工はいらない。
客に勝たせる経験をもっと積ませることだ。
警察様は、機械のベース規制ではなく、
ホールの還元率の下限にメスを入れ、
客にもっと還元することを指示したらどうだ。