学生向けの業界のお話の続き
ここ10年位で大手メーカーの直販比率はどんどん上がっている。
もちろん直販で売った方が利益が大きいのもあるが、
業者は悪い機械の時は
ホールに積極的に売らないので都合が悪い。
業者が勝手に値引きを行い、ルールをくずされて迷惑をこうむることもある。
いい機械の時は、注文が殺到するため足りなくなるため
割当制になる。
例えば、どこどこの支店には1000台割り当てが降りてきたとすると
人を軸として割り当てをするメーカーは、
そのうち社員のAさんに250台分、Bさんには200台・・、と直販が当然優先され、
業者には、地域の全業者合計で200台分渡そうか。納期も後でいいやとなる。
ホールを軸として割り当てをするメーカーは、
大手やお得意さん(抱き合わせを飲んでくれるような)から
順次希望台数や納期を入れていくようにする。
業者は、抱き合わせ販売を積極的にしないので、
悪い機械を買わなかったホールは当然台数も納期も後回しだ。
あとからなんとかしてくれと
うっとおしいことを言ってきても
クソ台売りつけてないのだからしょうがない
お得意様から、いい機械を提供していくのは
至極あたりまえな行為である。
買う側も直販から取引した方が、情報も早いし、割当も多い。
値段は業者よりちょっと高いかもしれないが、直販から買うことの利点の方が大きい。
一般人の感覚で置き換えると、IPhoneを買う行為と近い。
道端のわけわからんうさんくさい業者から納期遅れて買うのと
アップルストアで発売日に買うのと同じだ。
機械性能はあたりまえだがどこで買おうと同じだ。
値段も若干業者が安いが、それほどまでの開きはない。
それよりも納期の差、在庫の差、信頼性の差が非常に大きい。
いいものは、人より先に早く使いたい。
個人情報も悪用されるかもしれない。
それらの感覚と、ぱちんこの直販、業販がだいたい似たようなものだ。
あと、既得権というものがある。
ようは縄張りだ。
ここのホールは、誰のものというのが
ある程度暗黙知で決まっており、
それを崩すことを「まくり」という。
既得権は、メーカーによりルールがあるところがあるが、
たとえば、
数機種連続してそのホールに販売ができなかった場合
既得権が外れてフリーになるなどだ。
永続的な既得権もある。
直販のホールを、弱小業者がまくるのは不可能に近い。
マルハンに飛び込み営業で、小さな業者がいったところで
担当者に会ってすらもらえないだろう。
もちろん、注文が取れたところで
メーカー側がそれはどこどこの既得権だからだめだと
許可しなければ販売できない。
結果、大手メーカーや業者はどこも
縄張りを守ってルート営業が多い。
飛び込み営業がきても、
ホールの方から、うちはそのメーカーの機械は
どこどこさんのところから買うから結構です
みたいに断ってしまう。
ひと昔前なら、人気のある機械は
早く入るならどこの業者からでもいいやというようなホールや、
業者間で値引き合戦させて一番安いところから買うようなホールもあったが、
最近聞かない。
縄張りとか、こういうところが
旧態依然で古めかしいところだ。
まあ営業社員も、飛び込み営業で苦労するよりは
いつも同じところをルート営業で気楽に回っていた方が
楽でいいのだろう。
いずれ、メーカー側の販売が
ネット販売やショールーム販売が主流となり、
訪問販売がなくなってきたら
業者は駆逐されていくだろう。