若手がすぐ辞める職場、何を変えれば定着するのか

若い社員を採用しても短期間で退職してしまう――。そんな職場の悩みをきっかけに、Z世代の早期退職をどう考えるべきか、多くの意見が交わされている。単純に「最近の若者は我慢が足りない」とする見方がある一方、待遇、教育方法、配属、人間関係、仕事の将来性など、会社側にも確認すべき点があるという意見が強い。

特に目立つのは、世代そのものを原因と決めつけることへの反発である。若者が辞めるという結果だけを見るのではなく、「なぜその会社を選び続ける理由がないのか」を調べる必要があるという考えだ。退職者への匿名調査を提案する意見もあり、制度の問題なのか、職場環境なのか、上司との関係なのかを切り分けなければ改善できないとの指摘が出ている。

「Z世代だから」で片づけることへの反発

まず多かったのが、早期退職をZ世代固有の問題として扱うことへの疑問である。「また他責で若者が悪いで思考停止してる」と厳しく見る意見や、「Z世代に限らず、すぐ辞める人はすぐ辞める」と世代論そのものに距離を置く意見があった。

実際、50代が多い職場でも短期間で複数人が辞めているという体験談があり、年齢だけで退職率を説明することは難しいとの見方がある。一方で、今年の新人と数年前の新人では違いを感じるという意見もあり、若手側の仕事観が変化していると実感している人もいる。

ただ、「若者を敵対視している人がいたら居心地は悪い」との意見が示すように、最初から世代で括って評価する職場の空気自体が定着を妨げている可能性を指摘する人もいる。「この中の何人かは必ず辞める」と最初から諦めて接すれば、その警戒感が新人にも伝わるのではないかというわけだ。

世代差が全くないという話ではない。転職への心理的な抵抗が小さくなり、若いうちは次の仕事も探しやすいという環境変化を挙げる意見もある。しかし、それを「我慢できない世代」とだけ説明するのか、「辞めても次へ移れる労働市場になった」と捉えるのかで、会社側の対応は大きく変わってくる。

「なぜこの会社で働き続けるのか」を示せるか

議論の中で特に具体的だったのが、企業と求職者の力関係が以前とは変わったという指摘である。「あえて御社で続けることで得られる、他社にはないメリットはなんですか?」という状態になっているとの意見が出た。

かつて企業側が応募者に志望理由を問い、数ある会社の中から自社を選んだ理由を説明させることは珍しくなかった。しかし人手不足の業界では、会社側も若い人から選ばれる理由を示す必要がある。給与だけではなく、成長機会、働き方、福利厚生、職場の雰囲気、将来のキャリアまで含め、「ここに残るメリット」が見えなければ転職するという考え方である。

実際、社会的信用、給与、福利厚生、企業年金など条件が良い企業には人が残りやすいとの意見がある一方、「いい企業でも辞める人はいる」との反論もある。優秀な人ほど選択肢が多く、より自分に合う環境へ移ることもあるため、待遇を整えれば退職者がゼロになるわけではない。

結婚や引っ越しを理由に辞める若手が多いという職場の体験談もあった。専門職で次の勤務先を探しやすければ、一つの会社へ長期間残ること自体の優先順位が低くなる。会社への不満だけでなく、生活の変化に合わせて仕事を替えるという選択が以前より普通になっている面もある。

残業代や待遇への不満は「我慢」で解決しない

待遇を巡っては、「残業が嫌なんじゃなくてサービス残業が嫌」という意見が印象的だった。必要な仕事を担当する人へ相応の対価を払うべきだという意見もあり、若手にだけ忍耐を求める姿勢への批判が出ている。

長く勤めている社員は経験を積んで給与も上がっているため、多少の不合理を受け入れられる場合がある。しかし入社直後の若手は給与が低く、仕事の全体像も分からない。その状態で残業代が出なかったり、何を求められているのか曖昧だったりすれば、会社へ残る理由を見つけにくいという指摘だ。

また、勤務地を巡る体験談もあった。僻地勤務から本社へ戻った後、再び僻地へ戻るよう求められ、振り回されていると感じて転職活動を始めたという例である。会社側には人員配置上の事情があっても、本人の生活やキャリアとの折り合いを欠けば退職につながる。

通勤そのものが大きな負担になるとの意見もある。往復に長時間かかり、満員電車で立ち続ける生活がつらく、会社の近くへ引っ越したという体験談も出た。若手の退職理由を仕事内容だけで探しても、勤務地や通勤、生活との両立といった要素を見落とす可能性がある。

マニュアルだけでは埋まらない教育の難しさ

教育方法については、会社側と新人側の双方から難しさが語られている。長年勤める社員ごとに仕事の手順が少しずつ違い、新人が板挟みになるという体験談があった。マニュアルが存在していても、現場ではベテランの経験や勘が入り、教える人によって指示が変われば新人は混乱する。

一方、会社側にも「マニュアルを読まない」「分からなくても報告しない」「大丈夫かと聞くと大丈夫と答える」といった新人への不満がある。膨大なマニュアルから必要部分を抜き出しても、新しい決まりを自分から確認しないケースがあるという体験談もあり、教育を手厚くするだけで解決するとは限らない。

興味深いのは、上司から一方的に「質問できない子」「一人で抱え込む子」と決めつけられたことがストレスになり退職したという体験談だ。その後の職場では、まず本人に考えて行動させ、失敗した場合は上司が責任を負うという育成方法によって長く働けたという。同じ人物でも上司との関係や任せ方によって定着が変わる例として示されている。

新人へ過剰に気を遣うことも逆効果ではないかとの意見もあった。「定着してもらいたい気持ちが前面に出過ぎて、新人にはプレッシャー」という見方である。厳しくすれば辞める、優しくすれば残るという単純な問題ではなく、本人を一人の働き手として扱い、必要な支援と裁量のバランスを取ることが重要だという方向へ議論が広がっている。

退職者への匿名調査を求める声

改善策として分かりやすいのが、実際に辞めた人へ理由を聞くことだ。「退職する人向けにアンケートとってみたら?」という提案があり、匿名なら会社の制度、職場環境、人間関係などの傾向を把握できるのではないかとの意見が出た。

これに対しては、「辞める会社に協力する気なんてわかない」との反論もある。退職理由を尋ねても本音を書いてくれる保証はなく、会社との関係が悪化して辞める人ほど詳しく説明したくない可能性もある。それでも、短期退職が繰り返されているなら原因を調べず世代論だけで済ませるよりは、具体的な材料を集めるべきだという意見は根強い。

採用そのものを見直すべきだという意見もあった。採用直後の退職が続けば、募集、面接、入社手続き、社会保険など会社側の負担も増える。「どういう面接をしたら精査できないのか」と採用担当を厳しく見る意見や、面接段階で職場の厳しい部分も隠さず説明した方がよいという提案がある。

短期間で辞める人を無理に引き留めるより、採用時点で仕事内容と本人の希望のずれを減らす方が現実的だという考え方である。逆に、1~2年働いた後に辞める社員については、待遇やキャリア形成など別の対策が必要になるとの指摘もあった。

「若者を変える」より職場とのミスマッチを減らす議論へ

今回の意見では、Z世代を一括りにして批判する声と、会社側の環境を見直すべきだという意見がはっきり分かれた。ただ、具体的な体験談を追うと、退職理由は待遇、勤務地、通勤、教育方法、上司との関係、結婚、キャリアなど非常に幅広い。

若手が辞めやすくなった背景には、転職しやすい環境や仕事観の変化もある。一方で、残業代が出ない、指導方法が人によって違う、本人の考えを聞かず決めつけるといった問題まで「Z世代だから」で処理すれば、本来改善できる部分まで見えなくなる。

すぐ辞める人をゼロにすることは難しい。それでも短期退職が繰り返されている職場なら、世代を変えようとするより、なぜ採用時の期待と入社後の現実がずれるのかを確認する方が具体的だ。若者側だけ、会社側だけに原因を求めるのではなく、どこでミスマッチが発生しているのかを把握することが、定着改善の出発点になりそうだ。