訪日客は減ったのに「混雑はむしろ強く感じる」

2026年上半期の訪日外客数は約2108万人となり、前年同期をわずかに下回った。6月単月も約315万人で前年同月比6.8%減だった。一方で国・地域別の動きは一様ではなく、中国からの旅行者が大幅に減る一方、韓国、台湾、米国など複数市場では増加が続いた。この数字を巡り、日本を訪れた経験者からは、総数の減少と現地で感じる混雑が一致しないという意見が相次いだ。

特に目立ったのは「中国からの旅行者がこれほど減っているのに、今年の方が混んでいるように感じた」という意見である。東京の中心部で働く人からも、外国人旅行者の存在感が弱まったというより、むしろ以前より強く感じるという体験が語られていた。

中国客が減っても他地域からの旅行者が増えている

最も多かった説明は、旅行者の出身地が入れ替わっているというものだった。「中国が大きく減ったということは、ほかの国はかなり増えている」という意見があり、総数だけでは街の混み方を説明できないとする見方である。

実際、2026年6月は訪日客全体が前年を下回ったものの、台湾、韓国、米国、インドなど多くの市場で6月として過去最高を記録した。上半期全体でも約2108万人が日本を訪れており、前年との差は小さい。中国からの旅行者減少だけを見れば大幅な変化だが、それをほかの市場からの増加がかなり埋めている構図になっている。

この点については「中国からの旅行者が戻ったら、今以上の混雑になるのでは」という意見もあった。現在でも主要観光地の混雑を強く感じている人にとって、中国市場が再び以前の規模へ近づいた場合の受け入れ余力が気になるというものだ。

団体旅行と個人旅行では街での見え方が違う

次に多かったのが、旅行形態の違いを指摘する意見である。「年齢が高めの中国人旅行者はバスの団体が多く、若い旅行者やほかの国の人は小さなグループで動く」という体験が語られた。大型団体は同じ観光地や宿泊施設へ集中しやすい一方、個人や少人数の旅行者は街のさまざまな場所へ分散するため、総数が同じでも日常空間で遭遇する機会が増えるという見方だ。

「小さなグループは広い範囲へ散らばるから、かえって多く見える」という意見もあった。観光バスで有名地を回る旅行者が減り、鉄道や徒歩で個別に移動する旅行者が増えれば、駅、飲食店、商店街、住宅地に近い場所まで旅行者の姿が広がる。そのため統計上は減少していても、生活者側には混雑が増えたように映るという説明である。

東京の中心部では、日本語で話しかけても店員が最初から英語を想定して聞いているように感じた、という在住者の体験もあった。「今年の方が悪化したように感じる」という表現からは、単なる観光名所の混雑ではなく、日常の店舗でも旅行者対応が常態化しているという感覚が伝わっていた。

消費先の違いを挙げる意見も

旅行者がどこでお金を使うかについても違いが指摘された。「中国からの旅行者は高級品、化粧品、薬など特定の商品で大きく使う一方、ほかの旅行者は飲食や体験など広い分野へ支出する」という意見があった。

そのため、旅行者数の増減だけで地域への影響を判断するのは難しいという見方が出ている。高額商品をまとめて購入する層が減った場合、小売店には大きな影響が出る一方、飲食店や観光体験では別の国からの旅行者増加で需要が維持される可能性があるという説明だ。

一方で「観光客に依存していない人にとっては、人数が減る方が歓迎しやすい」という率直な意見もあった。混雑や交通への負担を日常的に受ける住民と、旅行需要を収入につなげる事業者では、同じ数字でも受け止め方が違うというものだ。

大量購入を目的とする旅行者への体験談

買い物を巡っては、テーマパークで見た光景を挙げる旅行経験者もいた。開園前から並んだ際、複数人が分かれて列に入り、それぞれ購入する商品を割り当てられていたという体験である。「各組に買う物の一覧があった」という説明に対し、旅行ではなく転売を目的に定期的に来ている人たちではないかという意見が続いた。

この体験では、特に人気キャラクター関連の商品が海外で高値になるため、大量購入の動機になるという説明があった。ただし、こうした行動を特定国から来る旅行者全体の特徴として扱う意見ばかりではなく、一般の旅行者と買い付け目的の人を分けるべきだという指摘も出ていた。

消費額が大きいことと、地域の幅広い店に利益が落ちることは同じではないという意見もある。大型店や特定商品への支出が集中する旅行形態と、飲食、宿泊、交通、体験へ広く支出する旅行形態では、同じ一人でも地域経済への見え方が変わるという比較だった。

観光地での振る舞いを巡る厳しい体験も

一部では、旅行者のマナーについてかなり厳しい意見もあった。日本を複数回訪れた米国の旅行者は、伏見稲荷や大阪城などで案内を守らない団体を見た経験を挙げ、「旅行先であのように振る舞うことは想像できない」と強く批判していた。

これに対して、長年日本で暮らしている人からは、国籍そのものより旅行形態や集団の性格によって印象が変わるという体験も示された。大人数の団体は行動が目立ちやすく、少人数で移動する旅行者は周囲へ溶け込みやすいため、目についた事例だけで旅行者全体を判断しにくいという意見である。

また、日本の夏について「経験のある旅行者なら避ける時期だ」という意見もあった。8月の東京や9月上旬を経験した人からは、暑さが非常に厳しく「夏には二度と行かない」とする体験も語られている。訪日客数の変化には外交関係だけでなく、季節や気候、航空便など複数の要因が重なるという見方につながっていた。

多かったのは「総数だけでは混雑を説明できない」という意見

全体で最も目立ったのは、訪日客が前年より少し減ったという数字と、街で感じる混雑を同じものとして扱えないという意見だった。中国からの旅行者が大きく減っても、韓国、台湾、米国など別の市場が伸びれば、総数の減少幅は小さくなる。さらに団体から少人数旅行へ構成が変われば、旅行者が広い地域へ散らばり、生活圏で見かける機会も増えるという説明が多かった。

次に多かったのは、旅行者の消費先や旅行形態によって地域への影響が異なるという意見である。一部にはマナーや大量購入への厳しい体験もあったが、特定国の旅行者を一括りにするより、団体旅行、個人旅行、買い付け目的などを分けて考える意見も出ていた。