若い世代の投資熱が高まる一方、生活費を極端に削ってまで投資へ回す「NISA貧乏」のような状態には警戒する反応が多い。投資自体を否定するのではなく、余裕資金と生活資金の境界をどこに置くかが議論の中心になっている。

成功例だけを見ても再現性は分からない

反応で繰り返し出ていたのは、FIREを達成した一部の成功者だけを見ても、自分が同じ結果を得られるとは限らないという指摘だ。実際、身近な人が投資を始めたものの思うようにいっていないという声もある。

成功した人が紹介されると、「自分も同じようにできるのでは」と感じやすい。しかし重要なのは成功者の資産額だけではない。元の収入、投資を始めた時期、相場環境、副収入、家族構成、暴落時に耐えられる現金余力まで条件は違う。結果だけを切り取れば簡単に見えても、再現条件はかなり厳しい。

株高の期間に投資を始めた人は、大きな下落を経験していないという指摘も出た。価格が上がる局面ではリスク許容度を高く見積もりがちだが、資産が短期間で大きく減った時にも同じ判断を続けられるかは別問題である。

「投資しないリスク」もあるが、生活破壊は違う

一方で、インフレ時代に現金だけを持つことにもリスクがあるという反応もある。投資を危険だからと一括して避ければ、長期的な資産形成の機会を失う可能性がある。ここは投資推進派の主張として合理性がある。

ただし、多くの反応が線を引いているのは「余裕資金で行う投資」と「生活を壊して行う投資」の違いだ。食事回数を削る、交際や必要な支出まで極端に断つ、毎月ほとんど余裕を残さない。こうした状態では、病気や失業、家電の故障など一度の突発支出で計画が崩れる。

食生活を削って将来資産を増やそうとすることへの懸念も強い。若い時期の健康や経験には後から買い戻せない部分がある。「資産形成後に旅行すればいい」と考えていても、その時に同じ体力や時間が残っているとは限らないという指摘は重い。

FIRE後も収入源があるケースをどう見るか

FIRE達成者として紹介される人でも、動画配信や個人事業などで収入を得ているケースがある。これを見て「完全に働かない生活とは違う」と受け止める反応もある。

逆に言えば、FIREの本質は労働をゼロにすることではなく、会社員として働き続けなければ生活できない状態から離れることだとも考えられる。資産だけでなく、複数の収入源を持つ方が現実的な安全策になる。

投資は将来の自由を増やすための手段であり、現在の生活を極端に痩せさせること自体が目的ではない。NISAを使うかどうかより、生活防衛資金を確保し、下落しても続けられる金額に抑え、健康と必要な経験を犠牲にしないこと。この基本線を守れるかどうかが、投資熱が高まる今ほど重要になっている。