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百貨店ゼロ・1店舗の県が20に、「ネットで十分」と「包み紙まで信頼」で割れる

「街の顔」が消える地域が増加
東京・渋谷で58年間営業してきた西武渋谷店が9月30日に営業を終える。全国では百貨店が1店舗もない県が4県、1店舗だけの県が16県となり、合わせて20県で百貨店が「ゼロか1店舗」という状況になった。
反応を追うと、単純に「古い業態だから仕方ない」で終わってはいない。ネット通販や大型商業施設で代替できるという現実論と、百貨店にしかない信用や買い物体験を惜しむ声がはっきり並んでいる。
ネット通販と商業モールへの移行
縮小を当然視する側では、日用品からブランド品までネットで比較して買える時代に、目的なく店内を歩いて商品を探す買い物は減ったという見方が強い。地方ではイオンモールなどが生活の中心になり、都市部では駅ビルや複合商業施設が若い層を吸収しているため、従来型百貨店の役割が狭くなったという分析だ。
さらに物価高に対して賃金の伸びが追いつかず、百貨店で高額商品を買える層そのものが減ったという指摘も多い。商品が悪いからではなく、家計側が百貨店価格を選びにくくなったという現実が背景にある。
それでも残る「百貨店ならでは」の価値
一方、存続を望む側は価格以外の価値を挙げる。贈答品では百貨店の包装紙や紙袋そのものが安心感につながる、現物を見れば素材や輝き、細部の仕上げまで確認できる、売り場を歩くこと自体に非日常感がある、といった声である。
特に贈答文化では「どこで買ったか」が商品の一部になる。ネット通販でも同じ商品は買えるが、包装、接客、返品や相談のしやすさまで含めると完全な代替ではないという意見だ。百貨店がなくなると、単に店が一つ減るだけでなく、地域の催事、手土産、特別な日の買い物を担う場所も失われる。
生き残る鍵は「わざわざ行く理由」
反応全体を見ると、百貨店そのものへの嫌悪が強いわけではない。好きだが頻繁には使えない、価値は分かるが価格面で行きにくい、という層が少なくない。つまり問題は需要がゼロになったことではなく、日常の買い物として選ばれる頻度が落ちたことである。
今後生き残る店舗には、商品を並べるだけでなく、その場所に行かなければ得られない体験や品ぞろえが必要になる。百貨店の縮小は、消費者が「何を買うか」だけでなく「どこで買うことに価値を感じるか」を厳しく選ぶ時代になったことの表れである。